読者インタビュー

2016.03.22

わたしの日刊工業新聞 活用法(4) 青木科学研究所社長・青木久治さん

「小ネタがビジネスの糸口に」

 鋳造工程では、金型から製品をはがれやすくする離型剤の性能が品質を左右する。青木科学研究所が開発したダイカスト金型用油性離型剤は、従来の水性剤に比べ使用量が約1000分の1で済み、クラックなどの製品不良を少なくする効果もある。納入先は自動車・家電メーカーなど幅広く、まさに日本のモノづくりを支える縁の下の力持ち的な存在だ。2016年、シンガポールでの現地生産も始まった。「日刊工業新聞は技術提携や顧客開拓の糸口になる」と話す社長の青木久治さんに読み解き方を伺った。

―購読を始めたきっかけを教えてください。

 「先々代、先代は購読していたが、わたしの代になり、一時期、購読をやめていた。再び読み始めたのは日刊工業新聞社が主催する環境賞に応募したのがきっかけ。受賞内容が新聞に紹介され、反響の大きさに驚かされた。受賞と新聞報道の相乗効果は、顧客の信頼を獲得するうえで大きな力になる。以来、モノづくりに関連する賞を狙い撃ちでとりにいくようになった」

―長く読まれている理由は何でしょう。

 「製品開発に関する話題が非常に多い。こんなに世の中に新製品が出るのかと感心するほどだ。足で情報を稼いでいるなあ、という感じがする。また、たまに掲載される特集記事のなかにスゴイ情報が出ていたりする。日刊工業新聞は、今後、何が起こるかを予測させてくれるアイテムだ。しかも小さな記事のなかに興味を引かれるものがある。ニュースの価値に、記事や見出しの大きさは関係ない」

―紙の新聞ならではの魅力はありますか。

 「意外と面白いのが、企業の新製品広告だ。顧客が何をやりたいか、社風から何からよくわかる。センスのよしあしまでわかってしまう。新聞に広告を載せる時は、それなりの意図があるはず。ウチでも日刊工業新聞に広告を載せる時は、どのタイミングで、どの製品を載せるか入念に検討する」

―経営にどのように役立てていますか。

 「新聞ネタをもとに、技術提携できるか、顧客開拓につながるか、交渉先を探す。中小企業の記事は電話番号が入っているから便利だ。わたしが、これはと思った記事を選んで担当に渡し、ビジネスの可能性を探らせている。焼結合金の新製法を紹介した小さな記事をもとに、ある企業に共同研究を働きかけ、経済産業省の委託事業や産学官連携に発展したケースもある」

―最後に紙面づくりへの要望をお聞かせください。

 「海外の情報をもっと載せてほしい。アジアに進出している日系企業の情報だけで良いから、曜日ごとに国を変えて記事を掲載したらどうか。多くの同業者は、国内市場はこのままシュリンクし、海外でビジネス展開せざるを得ないと思っているが、なかなか有益な情報がみつからない。日本貿易振興機構(ジェトロ)でさえ、中小企業に役立つミクロな情報は提供できていない。そこを何とかしてほしい」

―ありがとうございました。


【略歴】青木久治(あおき・ひさはる) 1977年(昭52)東海大学工業化学科卒、同年関東化学に入社。78年青木科学研究所入社、99年社長に就任。東京都出身、60歳(2016年3月現在)。

【企業ファイル】

企業名

株式会社青木科学研究所

代表者

青木 久治氏

所在地

東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー18階

URL

http://www.lubrolene.co.jp/

事業内容

三菱自動車向け純正エンジンオイル、ギヤオイル、合成系エンジンオイル、ダイカスト用離型剤、潤滑剤、切削油、真空ポンプ油の製造・販売

取材協力:川越支局

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