読者インタビュー

2023.02.28

わたしの日刊工業新聞 活用法(93)日本ミシュランタイヤ株式会社 代表取締役社長・須藤 元 氏

須藤 元 氏

包括的な情報 刺激受ける

 ミシュランは企業ビジョン「すべてを持続可能に」を掲げ、2050年までにタイヤを100%持続可能にすると約束している。日本ミシュランタイヤの代表取締役社長の須藤元さんに、次世代タイヤへの取り組みや日刊工業新聞の魅力などについて聞いた。

-タイヤを100%持続可能にするのは、意欲的な目標ですね。

「タイヤの主原料は天然ゴムで、このほか合成ゴム、金属、繊維、強化剤、樹脂など200種類以上の素材でつくられる。ミシュランのタイヤの持続可能原材料比率は21年時点で29%だが、30年までに40%にする計画で、すでに22年に世界初となる45%の乗用車タイヤ、58%のバス用タイヤを発表した。もちろん性能は現行タイヤと同等だ。量産化に向けて取り組んでいる」

-着実に前進していますね。パンクしないエアレスタイヤの進捗はいかがですか。

「DHLエクスプレスと提携し、1月にシンガポールで『アプティス・プロトタイプ』を装着した車両が初走行した。23年末までに約50台に装着し、ラストワンマイル配送する予定。24年に市場投入する計画だったが、1年前倒しできた。ミシュランではエアレス技術により、年間最大200㌧の原材料の早期廃棄を防ぎ、環境保全に貢献できると予測している」

-環境保全ではプラスチック使用量削減に取り組んでいますね。

「日本では、タイヤの仕様や性能を表示するラベルのサイズを最大47%縮小し、プラスチックと紙の年間使用量を全体で43%削減する。だが、本社に報告すると、『それはグッドだが、まだベストではないよね』と言われる。RFID(無線識別)の活用などにより、ラベル廃止は夢ではないと思っている」

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持続可能原材料比率が45%の乗用車用タイヤ

-日刊工業新聞は情報収集に役立っていますか。

「タイヤのライフサイクル(設計・製造・使用・リサイクル)の課題を解決するには、包括的に情報収集する必要がある。日刊工業新聞は業界・分野ごとに紙面構成しているのでわかりやすいし、勉強になる。刺激的な記事も多く載っている」

―お気に入りの記事や連載はありますか。

「我慢して無理をすると、大義があっても長くは続かない。シリアスな課題であればあるほど、ワクワクしながら解決することが大切だ。この点、成功事例が参考になるのでよく読む。また、1面で連載している『リケジョneo』は、女性が活躍できる環境づくりの気づきがある」

-本日はありがとうございました。


【略歴】1994年室蘭工大電気電子工学卒。99年日本ミシュランタイヤ入社。16年中国ミシュランタイヤ副総監、20年専務執行役員、21年社長。岩手県出身、51歳(23年2月現在)。

【企業ファイル】

名称 日本ミシュランタイヤ株式会社
代表者 須藤 元
所在地 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー13階
URL https://www.michelin.co.jp/
事業内容 タイヤ輸入、販売、マーケティング、サービスなど

インタビュアー:群馬支局

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