読者インタビュー

2022.03.31

わたしの日刊工業新聞 活用法(82)タツミ化成株式会社 代表取締役社長・山崎 宏文 氏

事例に“目を開かれる”

 タツミ化成はプラスチック製品を手がける。1976年の創業からこの間、経営理念として「顧客」「従業員」「地域社会」の“三つの満足”を掲げて事業展開している。コロナ禍の今、力を入れているのが「働き方改革」だ。代表取締役社長の山崎宏文さんに、日刊工業新聞が役に立っているかなどを聞いた。

―コロナ禍でテレワークや時差出勤などの導入が広がりました。具体的に何から取り組みましたか。

 「まず残業を1日1時間までにした。また年間休日を増やし、119日にした。段階的に、もっと増やしたい。さらに希望に応じて週休3日を認めるようにしたところ、『ライフスタイルと合うのでうれしい』といった声があった。これからも柔軟な勤務体系づくりに取り組む」

―残業を減らすには、生産と事務の両面の効率化が求められますね。

 「生産ではロボットをはじめ、設備監視システムなどを計画的に導入してきた。現在は画像認識検査システムの導入に向け、日刊工業新聞の記事や広告を丁寧に読んでセンサーやソフトウエアなどに関する情報を収集している。目視による外観検査を減らして現場の負担を軽くしつつ、さらなる効率化と品質向上を図りたい」

-事務の面はいかがでしょうか。

 「例えば顧客ごとの担当制を廃止し、定期的に入れ替えるようにした。担当制では特定の人に業務が集中しがちで、平準化や効率化が難しかったが、改善できた。お互いの仕事をカバーし合おうという意識も高まった。さまざまな案件を経験することで個々の能力が上がる。誰がどこの何を担当してもしっかりと対応できるようにして、顧客満足度を上げたい」

-毎週水曜日に「モノづくり面」で「働き方改革」を連載しています。役に立っていますか。

同社が手がけたガスメーターの筐体
同社が手がけたガスメーターの筐体

 「その連載は毎回読んでいる。他社の事例を知ることで、考えもしていなかった取り組みに目を開かれたり、同じ取り組みにわが意を得たりとうなずいたりしている。参考になるし、とても役に立っている」

-働き方改革に終わりはありませんね。

 「コロナ禍で人材採用が厳しくなってきた。たとえ収束したとしても、この状況が一気に変化するとは考えにくい。今、勤めている皆にとって働きやすい職場を追求し続けることが、人材採用や会社の持続的な成長につながる」

-本日はありがとうございました。


【略歴】1989年福井工業大機械工学卒。90年タツミ化成入社、94年専務、96年社長。愛知県出身、55歳(22年3月現在)。

【企業ファイル】

名称タツミ化成株式会社
代表者山崎 宏文
所在地愛知県大府市横根町新江15番地12
URLhttp://www.tatsumikasei.co.jp
事業内容プラスチック製品の企画・設計・製作、金型の設計・製作、成形加工など

インタビュアー:名古屋支社

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