読者インタビュー

2021.08.27

わたしの日刊工業新聞 活用法(75)有限会社SIT 開発部長・添田 正道 氏

添田 眞弓氏

刺激を受けて開発意欲わく

 SITはナットゆるみ防止金具を手がける。開発部長の添田正道さんは、日刊工業新聞をめくりながら、新製品のアイデアを練る日々を過ごしている。正道さんだけではなく、妻で社長の眞弓さんも愛読者だ。日刊工業新聞の魅力などについて聞いた。

-ナットゆるみ防止金具「ペタルファスナー」は、ユニークな形状ですね。

 「二つの三角形のステンレスバネを広げ、ボルトの先端とナットに巻きつける。すると花びらのような六角形になるので、英語で花びらを意味するペタルと命名した。振動などでナットがゆるむ方向に回転すると、バネの力が逆向きの締める方向に働き、ゆるまないようにする仕組みだ」

-防止していることが一目でわかりますね。受注は堅調ですか。

 「ボルトの直径が5㍉-48㍉㍍向けの各種サイズを用意しており、鉄塔や建造物に採用されている。2018年に発売し、電力、鉄道などの会社に累計約500万個を納めた。生産は精密バネで知られるアドバネクスの大分工場に委託し、販売はネジ商社であるコボリやサンコーインダストリーなどにお願いしている」

-ネジ業界に半世紀以上、身を置いている経験を生かして開発に打ち込んでいますね。

 「紆余曲折を経て、妻が社長を務めているSITに入り、二人三脚でペタルの製品化にこぎ着けた。いろいろと改良したり、新製品を考えたりしていると時間を忘れる。産学共同開発にも取り組んでいる。これからも特許にあぐらをかかず、よりよいナットゆるみ防止金具をつくりたい」

ペタルファスナー
ナットゆるみ防止金具「ペタルファスナー」

-日刊工業新聞を長くご愛読いただいています。どこに魅力を感じていますか。

 「事業に関する業界だけではなく、産業界全体の動きがよくわかるのが魅力で、社会人になってからずっと読んでいる。さまざまな加工方法や材料などの情報が参考になる。また、負けん気が強いので、新製品の記事を読むと刺激を受けて開発意欲がわく。手前味噌にならないようにと反省することもある」

-奥さまもご愛読いただいていますね。

 「毎日、熱心に読んでいる。新製品や新技術の記事を指さして『この一歩先を行きなさい』と背中を押してくれる」

-本日はありがとうございました。


【略歴】1970年福岡大商卒、同年八幡ボルテン(現日鉄ボルテン)入社。15年SIT入社。福岡県出身、73歳(21年8月現在)。

【企業ファイル】

名称有限会社SIT
代表者添田 眞弓
所在地北九州市小倉南区下吉田4-2-5
事業内容ナットゆるみ防止金具の開発

インタビュアー:西部支社

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