読者インタビュー

2021.06.30

わたしの日刊工業新聞 活用法(73)株式会社入曽精密 代表取締役社長・斎藤 清和 氏

斎藤 清和 氏

思いがけない情報が魅力

 入曽精密は"不可能と思われているあらゆる加工に敢然と挑戦するMC造形"を打ち出し、マシニングセンター(MC)による微細切削加工を磨いている。アルミニウムの塊から削り出した「バラ」などの造形品は、同業の金属加工会社でも驚きの仕上がりだ。代表取締役社長の斎藤清和さんに、日刊工業新聞の魅力や活用法を聞いた。

-高度な金属加工技術が、業界内外で高く評価されていますね。

 「一辺の長さが0.1㍉㍍の『世界最小のサイコロ』をつくる技術がある。このサイコロは真ちゅう製で、重量0.0000059㌘、寸法精度プラスマイナス2㍃㍍(マイクロは100万分の1)だ。こうした技術力が見込まれ、さまざまな業界のメーカーから相談や共同製作の依頼が舞い込んでいる」

-受託加工のみならず、自社開発製品も展開されていますね。

 「数値制御(NC)による微細切削加工を極めるための概念として『MGCM(ミニマム・グリッド・コントロール・マニュファクチャリング)』を打ち出しており、これを具現化したMC搭載装置を展開している。加工対象物(ワーク)の位置決めや把持の誤差などを管理する装置で、例えば『ORIGAMI』はワークの段取り(固定)作業を完全自動化した。精度向上はもとより、技能伝承などの課題解決にもつながる」

―9月に設立50周年を迎えますね。新たな一歩をどう踏み出しますか。

 「新製品の接触式工具長測定システム『HAGOROMO-nano』の発表会を開く予定。直径0.01㍉㍍の小径工具の刃先を回転させたまま測定できる。技術力を生かした製品開発を通じ、下請けマインドを大切にするメーカーマインドへと意識改革したい」

削り出しのバラ
削り出しのバラ

-日刊工業新聞は事業に役立っていますか。

 「産業界の動きを把握し、一歩先を見極めるのに役立っている。また記事が掲載されると、たくさんの問い合わせを受ける。情報を伝えたい相手に的確に届けられていると感じる。展示会に出展した際、『記事を読みましたよ』と声をかけられた時はうれしかった」

-日刊工業新聞を読むことが習慣ですね。

「仕事との関係が深い機械面、モノづくり面に目を通した後、インデックスをチェックしている。思いがけない情報と出会うことが、新聞ならではの魅力の一つ。これからも読み続けて、会社が力をつけていくために活用したい」

―本日はありがとうございました。


【略歴】1976年川越高校卒、同年入曽精密入社。83年工場長、02年代表取締役社長。東京都出身、63歳(21年6月現在)。

【企業ファイル】

名称株式会社入曽精密
代表者斎藤 清和
所在地埼玉県入間市狭山台4-6-7
URLhttp://www.iriso-seimitsu.co.jp/
事業内容精密切削加工、精密冶工具設計・製作

インタビュアー:本社販売局

バックナンバー