読者インタビュー

2021.03.31

わたしの日刊工業新聞 活用法(70)株式会社エムシー 代表取締役社長・米倉 和秀 氏

米倉 和秀 氏

アンテナを張るのに最高

 エムシーはバス部品の受発注を仲介し、業績を伸ばしてきた。だが新型コロナウイルス感染拡大が響き、地場のバス産業は苦境に立たされている。巻き返しへと見いだした解が、自社ブランド品だ。代表取締役社長の米倉和秀さんに、日刊工業新聞の活用法などを聞いた。

-北陸経済は観光業が堅調でしたが、コロナ禍で一気に落ち込みました。バス産業にとっても大打撃でした。

 「国内観光客やインバウンド(訪日外国人)の伸びを受け、バス事業者が積極的に投資していた。バスが増産されて、部品のサプライヤーも潤うといった好循環があったが、これが崩れてしまった。だからといって待ちの姿勢では生き残れない。そこで自社ブランド品の開発に乗り出した」

-思い切った決断でしたね。どのような商品ですか。

 「石川、富山の両県の部品加工業者や伝統工芸品の会社と協業し、センサー式の消毒液噴霧器とスタンドを商品化した。『TeNE(テーネ)』というブランドで意匠登録と商標登録を申請している。飲食店やホテルからの『空間や調度品となじむ機材がほしい』といった声を聞き、金箔や漆を施した。協業先はどこも高い技術力を持っている。当社は企画のほか、プレス・板金から切削、塗装までの工程管理などを手がけた」

―高級感がありますね。どう販売戦略を描いていますか。

 「自社サイトの『オンラインショップ』で注文を受けるほか、厨房機器やホテル用品などを扱っている商社に卸売りする計画。販売代理店も募集したい。地場の中小企業の技術力やネットワークを生かし、衛生関連商品を拡充する方針だ。みんなと手を取り合って、地産地消で地場産業界を盛り上げたい」

テーネ
金箔(右)、漆を施した消毒液噴霧器「テーネ」

―日刊工業新聞はビジネスに役立っていますか。

 「毎朝、必ず目を通している。コロナ禍でつらいのは、みんな同じ。だからこそ全国の中小企業がチャレンジしている記事を読むと刺激になる。さまざまな業種の加工業者や新製品情報を収集できるのもいい。掲載されていた企業に連絡をとったこともある。各種支援策の情報を網羅しているのもありがたい。アンテナを張るのに最高の新聞だ」

―日刊工業新聞に記事が掲載されて反響はありましたか。

 「バス向け抗ウイルスコーティングやパーテーションなどの記事が掲載されて知名度が上がった。訪問先でも『掲載されていたね』と言われ、一目置いてもらえた。今後も商品の魅力を紹介してくれるとうれしい」

―本日はありがとうございました。


【略歴】1984年名城大商卒、同年福井銀行入行。板金加工メーカーを経て、15年にエムシーを創業。16年に法人化。福井県出身、60歳(21年2月現在)。

【企業ファイル】

名称株式会社エムシー
代表者米倉 和秀
所在地石川県小松市沖町ト101番地
URLhttps://mcnow.jp/
事業内容各種機械部品の企画、受発注の仲介

インタビュアー:金沢支局

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