読者インタビュー

2020.05.29

わたしの日刊工業新聞 活用法(60)佐伯印刷株式会社  代表取締役社長・平岩 照正 氏


平岩照正氏

先端技術を無理なく理解

 佐伯印刷は2021年に創業80周年を迎える老舗の印刷会社だ。時代に合わせて変化し、地歩を築いた。代表取締役社長の平岩照正さんは、実父の平岩禎一郎会長から18年にバトンを引き継いだ3代目。これからも変化し続け、会社を成長させることを託されている。日刊工業新聞をどう役立てているのかを聞いた。

 ―印刷業界ではデジタル化が進んでいますね。

 「デジタル技術を生かしたソリューションを提案し、差別化を図りたい。例えばAR(拡張現実)の活用により、紙媒体だけでは伝わりにくい情報を効果的に伝えられる。印刷物と動画を組み合わせたいといったニーズも強まっている。これらの新技術を理解しているかどうかで、提案内容が変わり、顧客の信頼や満足度も変わってくる。また、パソコンで印刷物のデータを制作するデスクトップパブリッシング(DTP)など、当社が強みとしているスキルをもっと磨く」

 ―日刊工業新聞は新技術を理解するのに役立っていますか。

 「先端技術の記事が多面的に繰り返して載っているので、最初はよくわからない技術でも読んでいるうちに無理なく理解できるようになる。最近は第5世代通信(5G)に興味がある。技術情報はもとより、5Gによって社会や産業界がどう変わるのかといった予測や企業の先進事例などが参考になる。印刷業でどう生かせるかが見えてくる」

 ―ほかに評価している点はありますか。

 「モノづくりに関する政府の方針、大手企業の事業戦略などがよくわかる点だ。また他紙で経済情勢が厳しいといったニュースを読むと暗い気持ちになるが、日刊工業新聞は同じニュースでも前向きになれる。事実だけではなく、産業界がとるべき道筋などが示されているからだ。新聞は何が問題なのかを気付かせてくれる媒体だと思っている。インターネットは情報収集に適しているが、問題意識がないと有益な情報を探し出すのは難しい」

若手のDTPスキルを磨く

若手のDTPスキルを磨く

 ―佐伯印刷は地域経済を活性化させる担い手として経済産業省の「地域未来牽引企業」に選ばれていますね。

 「地元の企業や団体をはじめ、経済波及効果が大きい国際会議や国際展示会などの『MICE』で、印刷を軸とする総合的なサービスを提供し、活性化に貢献したい」

 ―本日はありがとうございました。

 


 

【略歴】1997年茨城大院理工学研究科修了、同年大昭和製紙(現日本製紙)入社。04年佐伯印刷入社、12年常務、18年社長。大分県出身、48歳(20年5月現在)。

 【企業ファイル】

名称

佐伯印刷株式会社

代表者

平岩 照正

所在地

大分市古国府1155‐1

URL

https://www.saiki.co.jp/

事業内容

各種印刷物をはじめ、デジタルコンテンツ、さまざまな情報伝達ツールの企画・制作など

インタビュアー:西部支社

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