読者インタビュー

2020.01.31

わたしの日刊工業新聞 活用法(56)アイクォーク株式会社 代表取締役・立石 憲治 氏


立石憲治氏

「いいモノがないか」探す

 アイクォークは電子応用機器の受託設計・試作・生産が主力だ。近年は揺動ベッドやVOC(揮発性有機化合物)除去装置を相次いで製品化している。創業者で代表取締役の立石憲治さんは、思いを形にして新たな事業分野を開拓する。日刊工業新聞の活用法などを聞いた。

 ―揺動ベッドはとてもユニークですね。

 「赤ちゃん用、福祉用、大人用をラインアップしている。赤ちゃん用は心拍数のリズムで揺れる。寝ぐずりや夜泣きすると自動運転し、泣きやむと停止する機能を搭載しており、保育園などで重宝されている。福祉用は肢体不自由の児童に揺れ刺激を与えられる。大人用は腰痛の改善などを期待できる。九州大学などとの産学連携で製品化した」

 ―VOC除去装置は業務用と家庭用を展開しています。

 「シックハウス症候群などの原因となる化学物質の分解に特化した。九州大学が開発した光触媒を、独自の環状路構造で高効率に反応させている。例えばホルムアルデヒドの場合、厚生労働省が定める室内濃度指針値0.08ppm(ppmは100万分の1)以下の低濃度に下げられる」

 ―一見すると揺動ベッドとVOC除去装置は関連がないですね。

 「確かに技術分野は異なるが、どちらもテーマは〝健康〟だ。受託開発は『世の中の役に立ちたい』との思いで、さまざまな案件を請け負ってきた。こうして培ったノウハウを生かし、自社製品を開発している。これからも病気などで苦しむ人々の悩みを少しでも解消したい」

 ―日刊工業新聞は開発の参考になりますか。

 「新技術や新製品にアンテナを張ることが重要だ。仕事柄、電機・電子面や医療・ヘルスケア面、科学技術・大学面を参考にしている。日刊工業新聞は業界ごとに紙面構成しており、このほかの面も『いいモノがないか』と探すだけの価値がある。記事に事業のヒントが隠れている」

産学連携で開発した大人用の揺動ベッド

産学連携で開発した大人用の揺動ベッド

 ―日刊工業新聞を読むことが習慣になっていますね。

 「電機メーカーに勤めていたころ、上司から『必ず新聞を読みなさい』と言われていた。一般紙や業界紙もあったが、産業界全体の動きを把握するため、日刊工業新聞を手にしている時間が自然と長くなっていた。私にとって日刊工業新聞を読むことは当たり前で、忙しくても時間を見つけて目を通している。インターネットも悪くはないが、パッと開いて斜め読みするほうが情報収集量は多いと感じる」

 ―本日はありがとうございました。

 


 

【略歴】1977年九大工卒、同年九州松下電器(現パナソニックコミュニケーションズジャパン)入社。2000年アイクォーク設立。福岡県出身、65歳(19年12月現在)。

 【企業ファイル】

名称

アイクォーク株式会社

代表者

立石 憲治

所在地

福岡県粕屋郡志免町南里6の6の18

URL

http://www.iquark.co.jp/

事業内容

電子応用部品の設計・開発・製造

インタビュアー:西部支社

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