読者インタビュー

2019.11.29

わたしの日刊工業新聞 活用法(54)岩本工業株式会社 代表取締役会長・岩本 博之 氏


岩本博之氏

〝開発品〟情報発信に手応え

  岩本工業は建設機械や工作機械などの部品加工から組み立てまでを一貫生産している。2019年に自社製品「楽~ラント」の販売を本格化した。切削液を自動で希釈し、複数の工作機械に自動供給する装置。これで生産現場の自動化需要を掘り起こす。代表取締役会長の岩本博之さんは、この挑戦を成功に導くため、日刊工業新聞を活用している。

  ―楽~ラントはもともと自社工場用に開発したそうですね。

 「自社工場ではマシニングセンターが12台稼働している。この切削液の供給作業を効率化するため、15年に実用化した。導入後、年間504時間もかかっていた供給作業時間がゼロになった。16年に地元の展示会に参考出展してみたところ、来場者から購入の打診を受けたことが、外販のきっかけ。まずは、取引先の企業に試験販売し、19年に楽~ラント事業を本格化した」

 ―日刊工業新聞は楽~ラント事業に役立っていますか。

 「この事業を始めてから読み方が変わった。機械面で工作機械の周辺機器の情報を収集しているほか、生産現場向け自動化・省人化機器の売れ筋や開発動向を探っている。また楽~ラントの記事が掲載されたり、広告出稿したりしたところ、全国のエンドユーザーや商社から反響があった。読むだけではなく、情報発信するための新聞になった」

 ―この事業は社員にとっても刺激になっているでしょうね。

 「もう一段の成長を促すきっかけになった。以前から人材育成に力を入れており、技術系は技能検定を、事務系はビジネスキャリア検定の取得を推奨している。入社4年以降の社員の9割程が、それぞれ対象となる資格を取得している。現在、この事業は専属5人と立候補した社員の計12人の選抜チームで活動している。従来業務とは異なる経験をしてメンバーの意識も変わってきた。

自社開発した「楽~ラント」

自社開発した「楽~ラント」

例えば広報・宣伝活動などを考えるようになった。新聞の力も肌で感じているようだ。この事業には会社そのものを変革する可能性を見いだしている」

 ―その可能性をどう広げていきますか。

 「まず、この事業を軌道に乗せたい。20年に月販20~30台を目標に掲げている。自動化が叫ばれている時代だけに、チャンスは十分にある。また知見を生かして関連機器も開発し、自社製品を拡充したい。どのような製品がいいのか、狙うべき市場はどこかといったことを探るため、これからも日刊工業新聞を読み込むつもりだ。新製品の記事や広告による情報発信でも活用したい」

 ―本日はありがとうございました。

 


 

【略歴】1972年岩本工業入社。82年取締役、92年社長、2012年会長。石川県出身、71歳(2019年10月現在)。

 【企業ファイル】

名称

岩本工業株式会社

代表者

岩本 博之

所在地

石川県白山市五歩市町446番地

URL

http://www.iwmt-kg.co.jp/index.html

事業内容

建設機械・工作機械などの部品及びユニット生産、切削液自動供給装置「楽~ラント」製造販売

インタビュアー:金沢支局

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