読者インタビュー

2018.12.28

わたしの日刊工業新聞 活用法(44)株式会社トリム 代表取締役会長・新城 博 氏


「循環型社会づくりに貢献」

 捨てればごみ 活かせば資源―。トリムは廃ガラスを原料とする多孔質軽量発泡資材「スーパーソル」の製造・販売を手がけている。国内外で再資源化プラント受注活動も展開しており、沖縄県の経済成長の担い手として、経済産業省の「地域未来牽引企業」に選ばれている。創業者で代表取締役会長の新城博さんに、日刊工業新聞の活用法などを聞いた。

  ―スーパーソルはどのように製造するのですか。

 「色やかたちの異なるガラス瓶などを回収し、粉状にして独自の発泡添加材と混合する。これを焼成すると、発泡して軽石のようになる。焼成時間や温度を制御して吸水率や比重をコントロールし、土木、緑化、農業などの用途に応じた製品にする。主成分はケイ素なので土壌に還元できる」

 ―独自製品だけに、開発は苦労されましたか。

 「1995年の容器包装リサイクル法制定を知り、廃ガラスの資源化に着目した。沖縄県工業技術センターの協力を受け、96年にガラスを粉砕するカレット製造機を開発した。その後、岸本国際技術研究所と業務提携し、98年にスーパーソルを製品化した。ガラスを多孔質材にする技術が実用化されていなかったため、不安もあったが、実験を重ねてこぎ着けた。当時の主力事業は健康器具などの物販だった。モノづくりで経営基盤を強化し、社員が安心して働ける会社にしたかった」

 ―日刊工業新聞との出会いは、この頃ですね。

 「展示会で取材を受けたのが、購読のきっかけ。沖縄発の全国展開を目指していたが、県外の情報が手に入りにくくて困っていたので、これはいいと思った。中小企業から大企業、新技術などの情報を手軽に収集できるため、愛読している」

  ―事業には役立っていますか。

スーパーソルは「エコマーク」認定を 受けている

 「ヒントになりそうな記事を切り抜き、読み返しているとアイデアが湧いてくる。インターネットでも情報収集できるが、頭の中でシミュレーションするには紙でないとだめ。またモノづくりに対する『軸』がぶれた時、日刊工業新聞を読むと原点に戻れる」

  ―ガラス発泡資材事業協同組合を立ち上げ、国内は計15工場でプラントが稼働しています。一方、海外向け受注活動にも力を入れていますね。

 「海外向けは台湾に1プラントを納めた実績がある。現在は韓国向けの商談が進んでいる。最近、英国からも引き合いがあった。廃ガラスの処理に困っている地域は少なくない。世界の循環型社会づくりに貢献したい」

  ―本日はありがとうございました。


 

【略歴】  新城 博(しんじょう・ひろし) 高校卒業後、1969年オキエイ入社。74年シンキョウ商事(現トリム)創業、 2011年会長。沖縄県出身、67歳(18年11月時点)

 【企業ファイル】

名称

株式会社トリム

代表者

坪井 巖氏

所在地

那覇市宇栄原1丁目26番地23号

URL

https://www.trims.co.jp/

事業内容

廃ガラス再資源化資材の製造・販売など

インタビュアー:那覇支局

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