読者インタビュー

2018.12.03

わたしの日刊工業新聞 活用法(43)株式会社田神工作所 代表取締役社長・田神 知之 氏


「金属熱処理 大物で差別化」

  高周波焼き入れは鋼材の表面を急加熱・急冷却して硬化させる金属熱処理法で、自動車や建設機械、工作機械の部品に用いられる。田神工作所はこの処理の専門会社。長尺・大物ワーク(加工対象物)対応で差別化し、メーカーから一目置かれている。田神知之社長は先代から会社を継いで1年余り。日刊工業新聞をどう役立てているかを聞いた。

  ―長尺・大物ワークに対応できる縦型と摺動型の高周波焼き入れ機が自慢ですね。

 「縦型は直径1000ミリメートル×長さ5000ミリメートル、摺動型は長さ15メートル・重量30トンのワークを処理できる。東海地域の中小企業で、これだけのサイズに対応できる熱処理会社はないと自負している。大物だけではなく、小物の多品種少量生産にも対応している」

 ―焼き入れから歪み矯正までのプロセスに一貫対応できることも強みです。

 「歪み矯正では最大加工加重300㌧のプレス機を整えている。また加熱コイルも内製化しており、複雑形状のワークでも柔軟・迅速に対応できる。これらの設備、培ってきた技術を生かし、仕事の幅を広げたい。また3次元測定機を導入して熱処理変形や変寸のデータを蓄積し、そのデータをもとに顧客に提案することで、さらに高い信頼を得たい」

 ―社長就任から1年余りがたちました。従業員の世代交代も進んでいますね。

ワークにコイルを巻き、高周波電流を流して熱処理する(オレンジ色に光っている部分がコイル)

 「30代が主力になっている。若手のやる気を引き出し、先代から受け継いだ〝顧客にノーと言わず、常に新しいものに挑戦する〟ことを守りたい。顧客から『若返りして技術力が落ちた』と言われないようにしっかりと技能継承する」

  ―日刊工業新聞は仕事の役に立っていますか。

 「先代から数えて20年以上も購読している。経営責任が大きくなるのに伴って、3、4年前から丹念に読んでいる。以前は目先の仕事に意識がとらわれがちだったが、全国の中小企業の取り組みを知って視野が広がった。また日本工作機械工業会がまとめる工作機械受注実績の記事を毎月、チェックしている。統計をとったら、受注実績と焼き入れ受注量が数カ月のタイムラグでリンクしていることがわかった。受注の増減を見極めるための重要な参考資料になっている」

  ―これからも役立つ情報を発信します。本日はありがとうございました。


 

【略歴】  田神 知之(たがみ・ともゆき) 08年(平20)名城大経卒、同年光栄テクノシステム入社。09年田神工作所取締役、15年専務、17年代表取締役。岐阜県出身、33歳(10月現在)。

 【企業ファイル】

名称

株式会社田神工作所

代表者

田神 知之氏

所在地

愛知県一宮市今伊勢町馬寄吉田前11の1

URL

http://tagami-hardening.com/index.html

事業内容

事業内容 機械部品の高周波焼き入れ

インタビュアー:名古屋支社

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