読者インタビュー

2018.11.01

わたしの日刊工業新聞 活用法(42)オーニック株式会社 代表取締役社長・難波 健 氏


「障がい者 金属加工で活躍」

  オーニックは障がい者の社会的自立を目的として1988年に設立した。現在、従業員24人のうち、障がい者雇用率は約7割を占める。“放電加工一筋”で歩み、金型から精密部品まで幅広く手がける。今春、自社ブランドの発光ダイオード(LED)照明事業にも乗り出した。難波健社長に日刊工業新聞の活用法などを聞いた。

  ―製造業での障がい者雇用は組み立て加工の現場が多い。金属加工は珍しいですね。

 「旋盤などの加工機械の場合、床に落ちた金属の切り子で車いすのタイヤがパンクするといったことがある。放電加工機なので、こうした不安がない。現場だけではなく、全館をバリアフリーにして働きやすい環境を整えている」

 ―清潔な現場に約20台もの放電加工機が並んでいます。通路も広い。これらの設備で生産する高品質の部品が、競争力の源泉ですね。

 「モノづくりの基準は世界共通で『品質』『価格』『納期』のいずれかを満たさねば受注できない。障がい者だからといって、この基準は変わらない。障がい者が加工しやすい小型の金型や部品を受注するようにしている。宇宙で人工衛星を放出するための円すい状の部品では、角度が高精度だと評価された」

 ―事業のすそ野を広げ、LED照明を市場投入しました。

 「培ってきた金型や部品の生産ノウハウを活用し、プラスチック成形品を生産したい。今春、LED照明事業に参入し、岡山県庁やトマト銀行などに採用された。自社でカプラやシェードなどの部品を生産し、組み立ては全額出資子会社で就労継続支援A型事業所の岡山ハーモニー(岡山県吉備中央町)が担っている。まずはこのLED関連の成形品から手がけたい。自社ブランドがあれば、皆のモチベーションも上がる」

初の自社ブランド「ONIK LED」は 岡山県庁の省エネに貢献

  ―日刊工業新聞には開発から生産、販売までのモノづくり情報が満載です。ビジネスの役には立っていますか。

 「自動車や機械に限らず、全ページに目を通している。顧客の記事が掲載されていることも多く、役立っている。最近はロボット関連の記事に興味があり、無人化や省力化などがとても勉強になる。また月曜日に1面で連載している『リケジョ』も楽しみだ。製造業への女性進出はまだこれから。マイノリティーという点では障がい者も同じ。いろいろな課題を乗り越えて頑張っている彼女、彼らの活躍を後押ししたい」

  ―会社が変わり、産業界が変わることで、社会も変わりますね。本日はありがとうございました。


 

【略歴】  難波 健(なんば・けん) 99年工学院大学機械工学部卒、同年オーニック入社。06年製造部長、12年社長。北海道出身、42歳(18年10月現在)。

 【企業ファイル】

名称

オーニック株式会社

代表者

難波 健氏

所在地

岡山県吉備中央町竹部1973

URL

http://onik.jp

事業内容

金型や精密部品の生産、 LED照明の販売

インタビュアー:岡山支局

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