読者インタビュー

2017.03.06

わたしの日刊工業新聞 活用法(24)佐田社長・佐田展隆さん

「中小企業目線の仕立てに親近感」 

 佐田はオーダースーツ専門店を全国展開する。国内最多となる40の直営店舗を支えるのは、仙台と北京にある自社工場。製販一体で品質とコストを追求し、年間12万着を売り上げる。創業93年の老舗を率いる4代目社長の佐田展隆さんは「メードインチャイナのオーダースーツは売れるわけがない」という紳士服業界の〝常識〟に挑戦。中国生産に踏み切り、2万円を切る低価格と徹底した技術指導による〝日本品質〟を強みに、百貨店向けのOEM(相手先ブランド)供給から自社ブランドで勝負するメーカーへ変身を遂げる。社長就任以来、日刊工業新聞を愛読する佐田さんに活用法をうかがった。

 ―日刊工業新聞との出会いを聞かせてください。

 「東レに勤めていた頃、上司や技術部門のスタッフが読んでいたため、日刊工業新聞は近しい存在だった。自分で読むようになったのは佐田の社長になってから。経営者の余暇を紹介する『週末は別人』という企画で、自社のスーツを着て富士山に登る話を取り上げてもらったのがきっかけだ」

 ―とくに興味を引かれる紙面や連載はありますか。

 「商売柄、素材面と中小企業面を中心に読んでいる。東レ出身ということもあり新素材など合繊メーカーの技術ネタが面白い。また社長として中小企業のトップインタビューに興味を引かれる。ウチのような中小企業の話題が豊富なため親近感を持って読める。円安の影響ひとつをとっても、大手紙は『輸出企業が潤うと景気が良くなる』という大企業目線で書くが、日刊工業新聞は『円安で原材料費が上がり苦労している』といった中小企業目線で仕立てているのが魅力だ」

 ―インターネット検索でもかなりの精度の情報が取れます。

 「ネットで何でも検索できるが、何でもありすぎて、何を見たら良いか、何を信じたら良いかわからない時代だ。紳士服のユーザーにも似たようなことがいえる。オーダースーツの良さは何か、既製品との違いは何か、ネットで調べればわかるじゃないかといっても、知っている方は少ない。不確かな情報が氾濫する時代だからこそ、信頼性のある日刊工業新聞の情報には価値がある」

 ―オーダースーツもネットで注文できる時代です

 「世の中の流れは、複雑な商品ほど対人接客が見直される方向にある。ネットに偏り過ぎた情報の取り方に、揺り戻しがきていると思う。確かにオーダースーツは寸法の記録さえあればネットで再注文できるが、ネット販売は思ったほど伸びていない。前にスーツを作った時、店長の話が楽しかったから、その体験をまたしたいからと来店する顧客が増えている」

 ―最後に紙面づくりへの要望をうかがえますか。

 「頑張っている中小企業経営者のリアルな体験談を読みたい。成功談ばかりでは面白くない。課題や困難をどのように克服したかという話は、経営者として勉強になるし、励みにもなる」

  -ありがとうございました。


【略 歴】佐田展隆(さだ・のぶたか) 1999年一橋大学経済学部卒、同年東レに入社。2003年に父が経営する佐田に入社、12年から社長。東京都出身、42歳(17年2月現在)。

【企業ファイル】

名称

株式会社佐田

代表者

佐田展隆氏

所在地

東京都千代田区岩本町2-12-5

URL

http://www.ordersuit.info/

事業内容

紳士・婦人オーダースーツの製造・販売

インタビュアー:本社販売局

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