読者インタビュー

2017.02.03

わたしの日刊工業新聞 活用法(20) ぶぎん地域経済研究所専務取締役・土田浩さん

「中小企業への豊富な取材量」 

 地域の景気を分析するには、中小企業、なかでも製造業の動向をつぶさに把握する必要がある。ぶぎん地域経済研究所専務取締役の土田浩さんは「日刊工業新聞は全国各地の中小企業への取材量の多さと、未公開情報へのアンテナの高さが魅力」と話す。その新聞活用法とは。

 -日刊工業新聞との出会い、読み始めたきっかけを教えて下さい。

 「日本銀行で2016年5月まで34年余り仕事をし、現在は、ぶぎん地域経済研究所で経済調査などを担当している。私にとって日刊工業新聞のキーワードは2つ。1つは『製造業』、もう1つは『中小企業・地域』だ。景気を分析する立場からすれば、製造業はいつの時代でも“景気循環の源”である。この点は、どんなに経済構造がソフト化・サービス化し、第2次産業のウエイトが低下しても変わることがない」

 -ビジネスや経営にどのように役立てていますか。

 「日刊工業新聞は、全国各地の中小企業への取材量の多さと、未公開情報へのアンテナの高さが魅力。とくに、生産拠点の国内外への移転・統廃合の情報や、新製品開発にみる創意工夫の足取り、新技術の実用化に向けた試行錯誤の経緯などの記事は示唆に富む。また、日頃は目の届かない業界の統計速報や中小企業を対象にしたアンケート結果なども参考になる。」

 -とくに興味をひかれる面はありますか。

 「業界ごとに1面を割いているのが特徴だと思う。他紙では『産業欄』の記事を1つずつ確認しながら必要な情報を探す必要があるが、例えば化学や電機など、個別の業界動向を注目している人にはとても便利だろう。私自身は、『中小企業・地域経済』、『モノづくり基盤・成長企業』などの面に注目している。」

 -なぜ長期にわたり、購読を続けていますか。

 「新聞を読むことは、長年の日課になっている。見出しだけでも一通り新聞に目を通しておけば、世の中の新しい情報にキャッチアップしているという安心感を持てる。気になる記事は切り取って箱に入れておくが、後日整理する段階で、その情報が自説を補強する具体例として活きてくることもある」

 -ネットニュースなどにない新聞の魅力を教えて下さい。

 「ネットニュースの情報源は、年々多様になり、面白い記事に出会うこともある。また、突発的な情報をどこにいても直ちに受け取れるメリットがある。ただ、情報は無限にあって、選択を一歩誤ると全然違う道に入り込んでしまい、より大切なニュースを見過ごしてしまうことも多い。その点、新聞ならば、ニュースの全体像が紙面で完結しているのが有り難い。情報が氾濫する時代だからこそ、それを取捨選択する編集力の重要性が高まったということではないか」

 -紙面づくりへの期待や要望があれば教えて下さい。

 「一般紙には、首都圏版や埼玉エリア版など地域の情報を扱うページがある。可能であれば、月に1回程度でいいので、各地の支局が1ページを編集する地方版があると面白いかもしれない」

-ありがとうございました。


【略 歴】土田浩(つちだ・ひろし) 1982年東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。名古屋支店営業課長、大阪支店文書課長、総務人事局人材開発課長、調査統計局調査主幹・埼玉県経済総括などを歴任し、2016年6月より現職。1958年東京都豊島区生まれ、59歳(2018年3月現在)。

【企業ファイル】

名称

株式会社ぶぎん地域経済研究所

代表者

代表取締役社長・島雄廣

所在地

埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5 ソニックシティビル12階

URL

 http://www.bugin-eri.co.jp/index.html

事業内容

埼玉県の地域経済発展のための調査研究、会員サービス、講演会・セミナーの企画・開催 、経営相談、財務診断

インタビュアー:さいたま総局

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