読者インタビュー

2016.10.17

わたしの日刊工業新聞 活用法(12) 岡山大学理事・副学長(研究担当) 研究推進産学官連携機構長・山本進一さん

「地方の研究成果を丁寧に報道」 

 岡山大学は中国地域を代表する大学で、中国四国エリアの産学官連携活動の中核ともいえる存在だ。研究推進産学官連携機構は、岡山大の研究活動を通じて得られた知の集積を地域に還元する実行組織として積極的に活動を続けている。機構長で同大学理事・副学長の山本進一さんに日刊工業新聞の活用法を聞いた。 

-日刊工業新聞を読み始めたきっかけをお聞かせください。

 「記事を良く読むようになったのは、6年前に名古屋大学から岡山大学へ転任し、研究推進産学官連携機構長になってから。日刊工業新聞、日本経済新聞、科学新聞の3紙はよく目を通している」

-各紙の使い分けのようなものはありますか。

 「経済の大きな流れは日経で読むことが多く、科学研究費助成事業などの詳細な情報は科学新聞を読んでいる。日刊工業新聞は地方の大学や研究機関の成果やシーズを丁寧に取り上げており、3紙の中でも情報源として重視している」

-記事に対してどのような印象をお持ちでしょう。

 「日刊工業新聞の記事はスポットライト的だと見ている。これには良い面も悪い面もある。報道される機会が少ない地方大学のシーズを紙面で取り上げているのは非常に良いと思っている。また基礎学術研究の記事が多い科学新聞に比べ、日刊工業新聞は応用研究に関する記事が多い。一般的に新聞記者の中には科学や研究者について理解が不足している人もいるが、日刊工業新聞社の記者に限れば正確性についていささか気になる場合はあるものの(笑い)、総じて理解しているという印象がある」

-紙面づくりへの要望をお聞かせください。

 「地方の大学や研究機関の成果を載せているのは良いが、もう少し掘り下げて、研究の深いところまで触れた記事を読みたい。新聞に掲載するにはさまざまな制約があろうが、研究がどういうきっかけで始まり、長い期間どう続けてきたかというプロセスについても紙面に取り上げてほしい。今のロボティクスやIoT(モノのインターネット)の報道にしても、もうちょっと掘り下げてくれたら、さらにいいものになる」

-まだまだ読者の痒いところに手が届いていないということですね。

 「共同研究について多くの記事を掲載しているが、研究を始めるまでの苦労や、その裏にある努力に少しでも触れてもらいたい。また、ひとつの研究を長く追い続ける記事が少ないように思う。研究成果が生まれたきっかけから、今後どう応用につながっていくのかといった展望まで書いてあれば、もっと多くの人に読まれるのではないか」

-どうもありがとうございました。


【略 歴】 山本進一(やまもと・しんいち) 1984年京都大学大学院博士課程修了、96年名古屋大学農学部教授、2002年同農学部長、04年同理事・副総長、11年岡山大学理事、副学長。大阪府出身、64歳(2016年9月現在)。

【岡山大学研究推進産学官連携機構概要】

名称

 岡山大学研究推進産学官連携機構

代表者

 山本進一氏

所在地

 岡山県岡山市北区津島中1の1の1

URL

 http://www.okayama-u.ac.jp/

研究内容

 研究活動の活性化、研究成果の社会還元推進、知的財産の管理・活用

 インタビュアー:岡山支局

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